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順位が下がった理由をどう説明するか — 原因の切り分け方と、断定しない伝え方

緒方亜朗2026-10-1318分で読了
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順位が下がった理由をどう説明するか — 原因の切り分け方と、断定しない伝え方

この記事の結論:「原因はこれです」ではなく「ここまで分かっています」と伝える

「で、なんで下がったの?」。順位や流入が落ちたとき、上司や取引先から真っ先に聞かれるのがこの質問です。私もWeb担当を始めたころ、この一言に答えられずに冷や汗をかきました。調べていくうちに分かったのは、うまく説明するコツは原因を当てることではなく、分かっていることと分からないことを分けて見せることだという点です。要点は次の4つです。

  1. 原因は1つに決まらないことが多い — Googleは流入が減る原因として、アップデート・技術的な問題・セキュリティ・スパム・季節性・サイトの移転を挙げています。複数が同時に起きることもあるので、最初から1つに決めつけないのが出発点です
  2. 説明の前に「何が・いつから・どのくらい・どこで」をそろえる — Search Consoleで期間を比べ、ページ・検索語・端末などで分けると、下落の範囲が見えてきます。これが説明の土台になります
  3. 原因の候補を「確認済み・可能性あり・否定済み」に分ける — 6つの候補それぞれについて、何を見て、どう判断したかを書き出します。否定できた原因を示すだけでも、相手の不安はかなり減ります
  4. 断定せず、データと次の確認日をセットで伝える — 「〜が原因です」ではなく「〜の可能性が高い。根拠はこのグラフ。◯日に再確認する」と伝えます。Googleも、改善しても順位が戻る保証はないと明記しています

以下では、切り分けの手順と、相手に伝える型を順に見ていきます。


1. なぜ「順位が下がった理由」の説明は難しいのか

最初に、説明が難しい理由を押さえておきましょう。私自身、この理由を知ってから、無理に答えを作らなくて済むようになりました。

検索順位は、もともと動くもの

Googleの「Google 検索トラフィックの減少をデバッグする」という公式ガイドは、検索結果は元来流動的なものだと説明しています。ほかのサイトの更新、検索する人の関心の変化、Googleの仕組みの改善など、自分のサイトの外にある理由でも順位は動きます。

原因の候補が多く、重なることもある

同じガイドは、流入が減る主な原因として、アルゴリズムの更新、技術的な問題、セキュリティの問題、スパムに関する問題、季節性や関心の変化、サイトの移転を挙げています。さらに、データ処理の変更やログ記録のエラーで「減ったように見える」だけの場合もあります。

これだけ候補があると、「たまたまアップデートの時期に、サイトのURLも変えていた」といった重なりは珍しくありません。

外から見える情報には限りがある

コアアップデート(Googleが年に数回行う大きな仕組みの見直し)について、Googleは特定のサイトや個々のページを対象にしたものではないと説明しています。つまり「あなたのサイトのこの部分が原因で下がりました」という個別の通知は届きません。手元のデータから推し量るしかないのです。

天気予報士を思い浮かべると分かりやすいかもしれません。予報士は「明日は必ず雨です」とは言わず、「降水確率70%」と言います。順位の説明も、確からしさを添えて伝えるのが誠実なやり方です。

参考・引用: Google 検索トラフィックの減少をデバッグする - Google 検索セントラル Google 検索のコア アップデートとウェブサイト - Google 検索セントラル


2. 説明の前にそろえる4つの事実

理由を語る前に、まず「何が起きたのか」を正確にそろえます。ここがあいまいなまま原因の話を始めると、議論がかみ合いません。

何が下がったのか

順位なのか、表示回数(検索結果に表示された回数)なのか、クリック数なのか、サイト全体の訪問数なのか。これらは別々の数字です。「順位が下がった」と言われて調べたら、実は訪問数が減っていただけ、ということもあります。違いは「「順位」「表示回数」「クリック数」は別物」で整理しています。

いつから下がったのか

日付を特定します。Search Consoleの検索パフォーマンス レポートで、日別のグラフを見ると分かります。直近のデータは暫定値で、グラフでは点線で表示されるので、確定した日付で判断しましょう。

どのくらい下がったのか

Googleは、比較機能を使って直近3か月を前の3か月や前年同期と比べるよう案内しています。下がり幅も大事です。2位から4位のような小さな下落と、上位10位から29位のような大きな下落では、Googleがすすめる対応が違います。

どこで下がったのか

下落の範囲を絞ります。検索パフォーマンス レポートでは、検索語・ページ・国・端末・検索での見え方で分けて見られ、検索タイプ(ウェブ・画像・動画・ニュース)も切り替えられます。「サイト全体で一様に下がった」のか、「特定のページ群だけ」なのか、「スマートフォンだけ」なのかで、疑う原因が変わってきます。

この4つを1行にまとめると、たとえば次のようになります。

「9月末から、商品紹介ページ群のクリック数が、前年同期比で約3割減っている。ほかのページはほぼ横ばい」

ここまで言えれば、説明の半分は終わったようなものです。

参考・引用: Google 検索トラフィックの減少をデバッグする - Google 検索セントラル 検索パフォーマンス レポート(検索結果) - Search Console ヘルプ


3. 原因を「確認済み・可能性あり・否定済み」に分ける

事実がそろったら、原因の候補を1つずつ確かめます。確かめる順番は、前の記事「「順位が下がった」とき最初に確認すること」で紹介した6段階と同じです。

ここで大事なのは、結果を3つに分けて記録することです。

  • 確認済み — データで裏付けが取れた
  • 可能性あり — 時期や範囲は合うが、決め手はない
  • 否定済み — 確かめた結果、当てはまらなかった

切り分け表の例

候補何を見たか判定の目安
計測の不具合Search Consoleの「データの異常」ページ、アクセス解析とSearch Consoleの比較時期が重なる・片方だけ減っていれば「可能性あり」
技術的な問題ページのインデックス登録レポート、URL 検査、直前のサイト変更登録数の急減や設定ミスが見つかれば「確認済み」
手動による対策・セキュリティSearch Consoleの2つのレポート緑色のチェックマークなら「否定済み」
GoogleのアップデートGoogle Search Status Dashboardの開始日・完了日時期が重なれば「可能性あり」。単独では確認済みにしない
季節性・需要の変化16か月の推移、前年同期、Googleトレンド前年も同じ時期に下がっていれば「確認済み」に近い
競合・検索結果の変化実際の検索結果、日々の順位の記録入れ替わった相手と日付が分かれば「可能性あり」

アップデートを「単独では確認済みにしない」としているのには理由があります。Googleのランキング更新は日付が公開されているので、時期が重なると、それだけで原因だと思いたくなるからです。時期が重なることは、原因であることの証明にはなりません。

私がこの表を作るようになってから、報告の場で「それ、ほかの原因は考えた?」と聞かれて詰まることがなくなりました。否定済みの欄が埋まっていること自体が、調べた証拠になるからです。

参考・引用: Search Console のデータの異常 - Search Console ヘルプ 手動による対策レポート - Search Console ヘルプ Google Search Status Dashboard ランキングの更新履歴 - Google


4. 伝え方の型:断定しない、データで示す

切り分けが済んだら、いよいよ伝える番です。ここでは、相手を問わず使える報告の型を紹介します。

報告は6つの要素で組み立てる

  1. 現時点の見立て(一文) — 例:「季節要因の可能性が高く、サイトの不具合は見つかっていません」
  2. 起きたこと — 何が・いつから・どのくらい・どこで
  3. 確かめたこと — 切り分け表の「確認済み」と「否定済み」
  4. まだ分からないこと — 「可能性あり」の項目と、その理由
  5. 次の確認日 — 例:「アップデート完了から1週間後の◯日に再比較します」
  6. やること・やらないこと — 当面の対応と、あえて手を入れない部分

5と6が入っていると、聞き手は「で、どうするの?」と追加で聞く必要がなくなります。

断定しない言い方の例

避けたい言い方言い換え
「原因はGoogleのアップデートです」「アップデートの期間と重なっています。ほかの原因は今のところ見つかっていません」
「来月には戻ります」「戻る時期は分かりません。◯日に再確認し、状況を報告します」
「競合に抜かれたせいです」「この3つの検索語では、新しく上がってきたページと入れ替わっています」
「特に問題はありません」「技術的な問題と手動による対策は、確認した範囲では見つかっていません」

「分かりません」と言うのは勇気がいります。私も最初は、何か原因を言わないと仕事をしていないように見える気がしていました。でも、根拠のない断定は、外れたときに信頼を一気に失います。Googleのコアアップデートのガイドにも、変更を加えても検索結果に目に見える影響が出る保証はないと書かれています。プロでも約束できないことは、約束しないのが正解です。

グラフは「比べる相手」と一緒に見せる

数字を見せるときは、単独のグラフではなく、比べる相手を並べます。

  • 前年の同じ時期と並べる(季節の影響が一目で分かる)
  • 下がったページ群と、それ以外のページ群を並べる(範囲が分かる)
  • アップデートの期間やサイト変更の日付を、グラフ上に書き込む

日付の書き込みには、Search Consoleの「カスタム アノテーション」が使えます。グラフを右クリックして、日付を指定して最大120文字のメモを残せる機能で、そのプロパティにアクセスできる全員に表示されます。また、検索パフォーマンス レポートの共有リンクを使えば、今見ている画面だけを相手に見せることもできます。

参考・引用: Google 検索のコア アップデートとウェブサイト - Google 検索セントラル カスタムメモを使用して Search Console のデータにコンテキスト情報を追加 - Google 検索セントラル ブログ 検索パフォーマンス レポート(検索結果) - Search Console ヘルプ


5. 相手ごとに変えるポイント

型は同じでも、相手によって強調する部分を変えると伝わりやすくなります。私が報告資料を作るときは、同じデータから相手ごとに冒頭の一文だけを差し替えています。

相手知りたいこと強調する部分
上司・経営層事業への影響と、次にどうするか見立て・影響の大きさ・次の確認日
社内の他部署(開発・デザイン)自分たちの作業が関係しているかサイト変更の日付と、下落の時期の関係
取引先・クライアント任せていて大丈夫か確かめた範囲・否定できた原因・今後の進め方

開発チームに聞くときは、責める調子にならないよう気をつけてください。「リニューアルのせいで下がった」と決めつける前に、「◯日のリリースで、URLやリダイレクトの設定に変更はありましたか」と事実を確認する聞き方にします。リニューアルで起きやすい問題は「サイトリニューアルで検索流入が消える典型ミス5つ」にまとめています。

取引先への報告では、「必ず元の順位に戻します」と約束したくなる場面があります。しかし、検索順位を約束できる人はいません。その理由は「「必ず上位表示」は誰にも約束できない理由」で詳しく解説しています。約束の代わりに、何を見て、いつ判断するかを約束しましょう。


6. よくある誤解・失敗例

説明の場面で起きがちな失敗を4つ紹介します。率直に言って、どれも私自身が一度はやってしまったものです。

失敗1:時期が重なっただけで「アップデートのせい」と言い切る

一番多いのがこれです。後で計測タグの外れや設定ミスが見つかると、最初の説明が丸ごと覆り、報告全体の信頼が下がります。アップデートは「可能性あり」にとどめましょう。

失敗2:サイト全体の平均掲載順位だけを見せる

平均掲載順位は、表示された検索の順位を平均した数字です。新しい検索語で低い順位に表示され始めただけでも下がります。下がったページや検索語に絞った数字と一緒に見せましょう。LinkSurgeなどの順位チェックツールで検索語ごとの推移を並べると、どこが動いたのかが具体的に伝わります。

失敗3:都合のいい期間だけを切り出す

下落が小さく見える期間や、回復したように見える日だけを選んで見せると、あとで別の人が16か月のグラフを開いたときに食い違いが起きます。比べる期間は、最初に決めて固定しておきます。

失敗4:「様子を見ます」だけで終わる

様子を見ること自体は正しい判断であることが多いです。ただ、「いつまで」「何を見て」判断するのかがないと、何もしていないように聞こえます。次の確認日と、そのとき見る数字を必ず添えてください。


7. 自分のサイトで確かめるには

説明の質は、手元にある記録の量で決まります。下がってから慌ててデータを集めても、過去にはさかのぼれません。

  • Search Consoleの検索パフォーマンス レポート — 16か月分の推移と期間比較。施策の日付はカスタム アノテーションで残す
  • Google Search Status Dashboard — アップデートの開始日と完了日
  • Googleトレンド — 検索そのものの増減
  • 日々の順位の記録 — 検索語ごとに、いつ・どのくらい動いたか

最後の順位の記録は、Search Consoleの平均掲載順位とは別に、決まった条件で毎日つけておくと説明の裏付けになります。LinkSurgeの順位チェックツールでは、検索語ごとの毎日の順位をグラフで確認できるので、「どの検索語が、いつから下がったのか」を報告資料にそのまま使えます。

あわせて、どの検索語で自社サイトが表示されているかを把握しておくと、下落の範囲を説明しやすくなります。LinkSurgeのランクインキーワード分析はその棚卸しに使えます。使い方は「自社サイトはどんなキーワードで検索されているのか」で解説しています。


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確認チェック

問1:順位が下がった時期が、Googleのコアアップデートの期間と重なっていました。報告で「原因はアップデートです」と言ってよいでしょうか?

答え:言い切るのは避けます。時期が重なることは原因の証明にならないため、「可能性あり」として伝え、ほかの原因を確かめた結果も添えます。

問2:原因を切り分けるとき、結果をどの3つに分けて記録しますか?

答え:「確認済み」「可能性あり」「否定済み」の3つです。否定済みの項目も、調べた証拠として報告に含めます。

問3:「しばらく様子を見ます」と報告するとき、必ず添えるものは何ですか?

答え:次に確認する日と、そのときに見る数字です。これがないと、何もしていないように受け取られます。


よくある質問(FAQ)

順位が下がった理由を上司にどう説明すればいいですか?

「何が・いつから・どのくらい・どこで」下がったのかをそろえ、原因の候補を確認済み・可能性あり・否定済みに分けて伝えます。そのうえで、現時点の見立て、次の確認日、当面やること・やらないことを添えると、追加の質問が少なくなります。

原因が分からないときは、何と報告すればいいですか?

分からないことは、分からないと伝えてかまいません。そのうえで、否定できた原因と、まだ残っている候補、次にいつ何を確かめるかを示します。根拠のない断定は、外れたときに信頼を損ないます。

取引先に「いつ順位が戻るのか」と聞かれたら?

戻る時期は約束できません。Googleは、改善の効果が出るまで数日から数か月かかることがあり、変更しても目に見える影響が出る保証はないと説明しています。時期の代わりに、何を見て、いつ再確認するかを約束しましょう。

報告にはどんなグラフを使えばいいですか?

前年の同じ時期や、下がっていないページ群など、比べる相手を並べたグラフが向いています。Search Consoleの比較機能で期間を並べ、施策やアップデートの日付をカスタム アノテーションで書き込んでおくと、変化の時期が一目で伝わります。


まとめ:説明の目的は「当てる」ことではなく「判断材料をそろえる」こと

順位が下がった理由を聞かれたら、まず事実をそろえ、原因の候補を確かめた順に並べてください。確認済みのもの、可能性があるもの、否定できたもの。この3つが分かれていれば、たとえ原因が1つに決まらなくても、相手は次の判断ができます。

伝えるときは、言い切らずに、根拠となるグラフと次の確認日をセットにします。地味に見えますが、これを続けていると「この人の報告は信頼できる」という評価が少しずつ積み上がっていきます。

前に読む記事は「「順位が下がった」とき最初に確認すること」、次に読む記事は「「必ず上位表示」は誰にも約束できない理由」です。報告に使う数字の選び方は「見るべき数字・見なくてよい数字」、シリーズ全体の順番は「SEO・GEO・AIO 入門カリキュラム」をご覧ください。

LinkSurgeの順位チェックツールでは、検索語ごとの毎日の順位を記録し、下がり始めた日と範囲をグラフで示せます。

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